無農薬の梅干しは不揃いがあたりまえ

無農薬・無添加の梅干しの特徴|不揃い

無農薬・無添加の梅干しの特長・不揃い

 

わたしが二十歳過ぎの頃、父と母が梅仕事を始めました。

 

手伝い始めた当時は、不揃いの梅がたくさんあり、梅干しを作れば作る程、出荷販売するパックに詰められずに、10kgずつの樽に入れられて倉庫に山積みにされていました。

 

当時は、今よりも流通の規格が厳しく、製品として出荷される梅の量が本当に少なかったです。

 

少しでも大きくてもダメ、小さくてもダメ、キズモノ、黒い斑点ももちろんダメ。

 

100kgの梅干しを漬け込んで、出来るのが45kg程度でした。そこから、規格に応じた選別をすると、製品として出荷できるのは、更に半分の20kg~25kgくらいがやっとでした。

 

製品にならない梅干しがあまりにも多いので、置く場所が無くなるくらい倉庫にあふれ、経営状態は決して良くありませんでした。

 

梅仕事を続けるために、父は、欠かさず手入れをしてきた大事な山林の木を泣く泣く売りながら資金繰りをしていました。

 

それでも、梅の収量が隔年おきに不作になる無農薬栽培を続け、黒い斑点を漂泊洗浄する次亜塩素酸ナトリウムの使用にも手を出さず、梅干しも、栄養豊富な手摘みの青梅だけを使って手仕事をいとわず、家族と従業員が一体となって梅仕事に励みました。

 

両親は、どれだけ赤字になろうが一切気にせず、他人が何を言おうが自分のスタイル(無農薬・無添加)を変える事はありませんでした。

 

梅干しの在庫の山をみて、「これは何とかしなければ」と考え、友人から地元みなべ町の梅屋さんが製品にならないような梅を買ってくれると聞き、トラック一杯積み込んでその業者さんに引き取ってくれるようにお願いしに飛んで行きました。

 

引取りの条件は「10kgで200円」でした。市場価格の1/20程度の金額です。

 

あまりの悔しさに震えながら「結構です」と断り、そのまま持ち帰って来た時の気持ちは、今でも忘れません。

 

 

不揃いの梅干しでも無農薬・無添加の価値が徐々に広がる

 

資金繰りと在庫に悩まされていながら、細々ながら梅仕事を続けていたある日、マクロビオティック食品の輸入販売をしている取引先の社長さんに相談してみました。

 

相談内容は、「不揃いの梅干しでも無農薬・無添加には自信がある。どこか喜んで買って下さる販売先はないだろうか?」というものでした。

 

その社長さんはその場で、

 

「私は、今まで海外のお客様に、本当に一度も農薬を使用していない梅干を何年も前から頼まれて、和歌山県の色んな業者に依頼しましたが、低農薬ならまだしも、一度も農薬を使用しないなんて商売にならないと断られてばかりだった。こんな無農薬・無添加の貴重な梅干を作ってくれているのであれば私が何とかします」

 

と仰って下さりました。

 

後日、その社長から、「全量普通の梅干しと変わらない価格で購入するから」とおっしゃって頂きました。

 

それからは、選別し製品に出来ない物は、そちらの会社がオーガニックの梅干しとして、ずっと購入して下さっています。

 

そういった社長さんやお客様のご協力もあり、徐々に経営的にも安定し今日まで歩んで来られました。

 

 

無農薬・無添加の梅干しには個性がある

 

弊社の梅は、不揃いという特徴のほかにも、成分が不安定という課題が常にあります。

 

例えば、以前梅肉エキスを錠剤にするのを協力工場に依頼した時も、「龍神さんの梅は丸剤には出来ない」と言われた事がありました。

 

それは、ロットごとにph値、Brix濃度などが少しずつ違うからだという事でした。

 

その時、私は「それじゃあどうして他社はいつも同じなんだろう?」と疑問に思ってしまいました。

 

あるメーカーに勤める知人に尋ねると、原料は全てph調整剤やBrix調整剤を使用しているとの事でした。

 

全て食品添加物を使って成分を均一化していたのです。

 

弊社の日高川を挟んでたった200mしか離れていない畑でも、実の付き方や花の咲く時期が微妙に違い、同じ品種でも梅の質や成分が異なります。

 

これを、高レベルの品質で統一するとなると、8割以上を捨てる事になってしまいますので、会社として成り立ちません。

 

私どもは、農作物は畑によって、どうしても個性があり特徴があるのだという事を、お客様に伝えていかなければなりません。

 

自然に近ければ近い程、梅干し一つひとつに個性が出てしまうのです。

 

どうか、無農薬・無添加の個性をご理解頂き、龍神の自然食品をご愛顧頂ければ幸いです。

 

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