龍神村の柚子
龍神村には昔から柚木が植えられています。
一時期は龍神の柚子を直接製品化して販売しているお店も何件かありました。
今も何件かは残っていますが、産業としてそれほど盛んとは言えません。
私の家でも昔から柚木が何本かあって、収穫しては搾って柚子のお酢を作ったりしていました。
柚子畑の再生
龍神村でも最近は農業する方が少なくなってきて、昔、柚木を育てていたのに手入れせずにほったらかしの畑があります。
こういった畑をなんとか再生させて生かせないかと考え、昨年から本格的にゆず製品の開発と販売を考えるようになりました。
まずは近所にある農家さんの畑で、もう10年以上手入れせずにほったらかしにしている畑を収穫と多少の管理を申し出たところ快くお返事が頂けました。
龍神村の柚子を作っている農家さんは、柚子で有名な四国などが不作の時、安価な値段で取引されていたことなどがわかりました。
寒暖差からできる良質な柚子
龍神村の柚子は品質が良くて他の産地に比べても味の深さはなかなかのものです。
龍神村で、ものづくりをしていつも思うのですが、本当に寒暖の差が激しいので質の良い農作物ができるのです。
ですから龍神村の柚子も甘みも酸味も強く、香りもすごくいいものが獲れます。
せっかく地元でおいしい柚子が収穫できるのですから、良い製品作りを考えて販売していく予定です。
農家さんは農業がうまくて野菜作りや果樹園造りがうまくても、きちんとした形で販売できないとなかなか所得に繋がらないのが現状です。
販売ができずに所得に繋がらないとせっかく手入れしていた畑が、後継者ができず畑そのものが荒れたり放置されたりすることが多くなります。
そういった意味でも種をまいて収穫し、収穫したものを加工し商品にして販売すると言う一連の流れがしっかりできるかどうかが農業の衰退を止める1つの答えになると思っております。
龍神村の人はシャイなのか材木もいいのが育つのですが、龍神杉は森林組合の市場で他県の材木商のかたが買ってその産地のブランドをつけたりすることも少なくありません。
農業や林業の一次産業を守っていくにはどうしても製品化して販売するという流れを作っていきたいものです。
昨年から収穫しているゆずは、収穫後すぐにひとつひとつ圧搾の搾る機械で果汁を搾り瓶詰めしてみました。
最近流行の酵素ジュースや酵素などでも思うのですが、瓶詰め時に高い温度で熱殺菌するのと生で搾ったものを体に取り込むのとでは全く効果が違います。
搾りたての柚子果汁には菌が存在しませんので、味が変わらずに3月末ぐらいまでは日持ちがするので、できたら容器の殺菌のみで果汁には熱を加えず販売するつもりです。
今年も限定で料理屋さんには少し販売していました。
料理人が認める柚子
私どもの会社でつくる商品はどうもプロに受けることが多く、この柚子も少しお話ししたら有名な料理屋さんが何件か注文をくれました。
今年の秋に搾ったものも分けてほしいと予約もいただきました。
こういった料理屋さんは自分のお店で出汁や醤油と合わせポン酢にするみたいです。
味に厳しい料理人は自然に近いままの味を好むので、私どもの会社の製品が非常に好まれます。
こういう風に作った商品を販売し買っていただけると、龍神村で今まで放置されたり手入れのされていないゆず畑が立派に生きてくるのです。
龍神村は柚子とは土地も相性が良く、もちろん無農薬でもそんなに汚い外見にはなりません。
それに寒暖差が激しいので、龍神村から地図上で十数キロしか離れていない田辺市にはみかんが沢山植えられてて味も良いのですが、龍神村ではミカンの木を植えてもあまりちゃんと育ちません。
またこういった暖かいとこでは深みのある柚子も作れないのです。
(この記事は2017年に執筆掲載した記事です)