信頼できる建具職人の仕事

mtoR設立経緯|建具職人の仕事

 

私が最終的に製品を作ろうと思ったのは、2歳年上の建具屋の友人がいるからです。

 

家が近所なこともあるのと、親父さんも建具屋なので私の実家の障子や建具などは全てその建具屋さんの仕事です。

 

若いころから彼の仕事に触れる機会が多いのですが、そのすごさは毎日長く使うほど分かってきます。

 

まず彼の作った戸は全く狂いが出ない。

 

毎日開け閉めしていて、もし建てつけが悪くなった場合は全て無償で直してくれるのですが、これがほぼ100%、上の鴨居に狂いが出てきたとかいう、建具以外の原因なのです。

 

彼の仕事自体に狂いが出るということを私は今まで一度も経験したことがありません。

 

うちの会社でも彼の仕事のすごさが随時感じられます。

 

例えば、梅干を紫蘇に漬ける作業場の入口は2カ所あり、杉板の大きな扉なのですが、その2枚の扉のおかげで鉄骨とコンクリートなのに一切結露が起こりません。

 

これは部屋の湿気をその2枚の扉が吸い取ってくれるからです。

 

しかし湿気を吸うと扉が変形して、少し開け閉めしづらくなります。

 

それをうちのスタッフが彼に伝えると、反対側から扉を雑巾がけするように言われ、軽めに絞った雑巾で扉を拭くと本当にスムーズに開け閉めできるように元に戻りました。

 

杉にウレタンなどの塗料を塗ると全くこの手間は省けるのですが、そうすると湿気を吸ってくれないので、結露が起こってしまいます。

 

こんな生きた扉と付き合っていれば、木の本来の良さや、その特性を活かす建具屋さんのすごさをひしひしと感じることができます。

 

 

建具職人の木取り仕事

 

後は、木の目の使い方が天才的で感動します。

 

まず作る品物に対してどういった力がかかるかを考え、職人ならではの勘で木取りします。

 

これはどういったことかと言うと、例えばテーブルに使う1mの脚が4本必要な場合、4mを4等分すれば効率がいいと思いますが、木を見てその4mから1本しか取らないこともあります。

 

4mから使える部分のみを切り出すのです。

 

随分前に、外でバーベキューをする用に簡易な椅子を自分で作っていた時、彼の工房に行って脚を4本切ってくれとお願いしました。

 

その時も妥協せずに木取りをするので何度も「外でバーベキューをするのに使う椅子だから適当でいい」と言ったのですが、丁寧に木取りをしたおかげで組み付けは私がしたにも関わらず未だに使っています。

 

一見無駄な様ですが、こういうことの積み重ねが最高の仕事を生み出します。

 

 

建具職人の仕事がつまったテーブル作り

 

文章にしても実際に触れてみないとなかなか伝わらないかと思いますが、これほどの仕事ができる人なので、その技術を活かしてテーブルを作ってほしいと頼みました。

 

すると「とにかく杉は怖い」と言われましたが、それを説得し、しかも東京のデザイナーさんのデザインで作ってほしいとお願いしました。

 

彼は、建具は四角で強度を出すが、テーブルは上で止めるだけなので非常に難しいと言いました。

 

しかもデザインされたテーブルの天板の厚さは3.5cmなので、これに脚を止め強度を出すのは私もかなり難しいと思った上でのお願いでした。

 

しかし彼は、ビスや釘、金具、ビスケットなど家具に普通に使うものを一切使わず、昔からの木組みだけでそのテーブルを作り上げたのです。

 

その試作品が出来た時、デザイナーさんが見に来て「このテーブルどのくらい使えますか」と聞きました。

 

彼は使用の注意を守ってくれたら「100年はもとーかい」(「100年はもつでしょう」という意味 龍神の方言での表現です。)と言い放ったので、デザイナーさんが驚いていました。

 

やはり彼にお願いして良かったと感動しました。

 

 

木釘で作った経本箱

 

前にも彼が地元のお寺さんに頼まれて経本を入れる箱を作っている時、神社やお寺等に納めるものは永久に使えなくては意味がないから金具などは一切使わないと言っていました。

 

その時、作っていた箱は構造的に釘が必要で、こういう場合、竹釘を使うらしいのですが、心あたりをあたっても竹釘職人を見つけられなかったので、自分で樫の木の釘を作ったのです。(掲載した写真が実際に木の釘で作った箱になります。しかもテーブルはこういったものも使わず、木組みだけです。)

 

こういう仕事をさらっとやってしまう本当にすごい職人なのです。

 

私自身この仕事をやろうと思ったのは彼の存在ありきでした。

 

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