原木選びと椎茸が育つ環境

 

龍神村は見渡す限り山林に囲まれ、自然豊かな地域です。

 

毎年、冬になると会社裏の原生林に入り、椎茸の栽培を行っています。

 

原生林(別名:原始林)とも言います。

 

伐採や災害などによって破壊(森林破壊)されたことがなく、自然のままの森林をいいます。

 

冬になると山林に入り、その年の椎茸の菌と植える原木を決めます。

 

一度に多くの原木を切るのではなく、かなり太めの原木を2~3本選び切り倒します。

 

この理由は(自然の山仕事)にも書いてあるように一か所をすべて切り倒してしまうと、土砂崩れや災害の恐れがあるためです。

 

こういった事が、間伐(森林で木の育成を助ける為の適当な間隔を保ち不要な木を切ること)にも繋がっていきます。

 

切った木はすぐに使うのではなく、しばらく乾燥させてから玉切り(1mぐらいの長さに切る)をしていきます。

 

 

一般的な玉切りとは違い、私達の切り出す原木は根元の太さが直径40cm位あるので、高さ40cm位の円柱に切りそろえていきます。

 

そこから再び少し乾燥させ、菌植えをしていきます。

 

 

毎年異なる原木選び

 

原生林の原木なので木の種類は様々なので、一般的に椎茸の原木に適しているのはクヌギやコナラと言われていますが私達の場合、その年によって最も適した原木を選んでいます。

 

今年(2017年)は樫の木です。
樫の木は有名な紀州備長炭にもなるウバメ樫などがあります。

 

なぜ樫も木を選んだのかと言いますと、1本の木に生える椎茸の数は、クヌギやコナラに比べて少ないのですが、その分品質が良く、肉厚で、香り、形と出来がいいからです。

 

こういった原木によって椎茸に違いが出ることが、おもしろく興味が尽きない点です。

 

 

菌床栽培とは!

 

 

菌床(オガクズなど木質機材に米ぬか)を混ぜているので椎茸もどきのようなものです。

 

椎の木に生えるので椎茸となったのなら、今年の椎茸は樫茸とでも言えるでしょうか?(笑)

 

とにかく龍神村の原生林で育った原木で生える椎茸は本当に風味も豊かで美味しいです。

 

 

厳しい環境で育つ椎茸

 

私自身、椎茸作りをしていて感じるのは龍神村の寒暖の差です。

 

龍神村は和歌山県の中部ぐらいなので暖かいと思われておられる方もいますが、私達の会社は標高350メートルにあり、寒暖差が激しく、真冬だと氷点下5~7°まで下がりかなり冷え込みます。

 

夏でも夜は涼しい日もあります。

 

私達の原木は谷の側の山林の中に並べていますので、かなり厳しい観光の中にさらされていて、この寒暖差が椎茸の味の宇上になっていると考えています。

 

最近では、原木でハウス栽培しているところも多く、椎茸の好む温度25°、湿度70%に設定し、年中収穫できるようになってきています。

 

この様な人工栽培やハウス栽培は、経済的にはいいかもしれませんが、やはり原木はそのまま山林の中(特に谷川の側)に並べるのがいいですね。

 

 

 

龍神村では、しいたけの旬は(11月頃と、3月頃)の年に2回の収穫ですが、真冬の1月~2月の氷点下の気温の中で出てくる椎茸もあります。

 

それを寒子と呼ぶのですが、厳しい気温、冬の乾燥した空気の中、健気に時間をかけて一人前になった椎茸は感動の味わいです。

 

この椎茸を炭火で焼いて天然の塩をパラパラかけて食べたら、もうやみつきです。

 

この味は菌床栽培や原木ハウスではなかなか味わうことが出来ないのです。

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