なめこの大敵・乾燥
なめこにとって乾燥は大敵です。
なめこは非常に湿気を好みます。
しかし露地栽培をする場合、原木を接地する場所はできるだけジメジメしたところが良いのはもちろんですので、私達も裏山の谷の側で出水のある杉林の中に接地しています。
そこに原木を並べると原木自体は湿気を吸っていい感じなのですが、晩秋から冬にかけての空気の乾燥は激しく、なめこにとっては大敵になります。
なめこのハウス栽培が湿度80%位なのは空気中の湿度を吸収し成長するからなのです。
接地場所に湿気があっても空気の乾燥があまりにも酷いとせっかく出たなめこが干乾びて駄目になることがあります。
自然のまま放置してもそれなりに育つものもありますが、収穫が安定して望めません。
接地場所がなめこの環境に合ってないかというとそうではないと思うのは、最近原木を据えている台木や地面からも菌がとんで自生しているものも見かけるので、場所的には適地だと思っています。
ただし、自生しているものは養分が足りていないのか、原木から力強く生えているものと違って、茎の部分が細かくて頼りない感じなので、適度な湿度にやはり養分が足りないと味が良くて食感のいいものは育たないのです。
原木から生えると味、食感共に良いのですが、酷い乾燥が何日も続いて雨が降らないと出た芽が干からびてきます。
秋の乾燥した風は湿度が40%はきっていますので、なめこにとっては非常に厳しい環境にさらされる事になります。
なめこの大敵、乾燥対策
芽がでても立派に育たなくては意味がありません。
そこで考えたのが上からミストをかける作戦をやってみました。
各地原木栽培をやっている方でスプリンクラーを接地しているのは見たことがありますが、スプリンクラーだと水がダイレクトにかかり過ぎて、私的にはイマイチ感がありました。
ミストなら水を細かく出来るので、湿気の吸着には適しているように考えました。
しかしミストに使う水が水道水だとがっかりですので、接地場所の谷の側に昔親父が掘った井戸があるので、その井戸を復活させました。
これで水質も最高にきれいな水で潤わせることが出来るようになったのです。
しかし美味しいなめこを作るには水分は枯れないぎりぎりのところが大切です。
例えば自然に生えていても雨が2~3日も続くと味が多少水っぽくなります。
ここ最近自然環境が厳しいので、龍神村でも1カ月間全く雨が降らなかったり、2週間近くほとんど太陽が出らなかったりと農業をすることが昔に比べ大変になっているように思います。
自然のなめこを最高のなめこに
自然の中にありながら、人間が少し成長のお手伝いをすることはとても大切なことと思っています。
ですから成長に必要最低限のお手伝いがなめこの水分補給です。
乾燥して乾ききらない内に少しミストで水分補給をします。
すると乾燥続きでも枯れずにすくすく育つのです。
立派に育ったなめこがたくさん生えている様子は、まさに黄金色に輝いています!!!
そういった状態を目にして良いなめこが育つと、本当に感動しますし、収穫が楽しくて仕方ありません。
自然の中で育てると言うことと、人間は出来るお手伝いがどこまでかと言うことは、いつも考えさせられます。
菌を植え付けたまま林の中に放置しておけば、どんな環境でも少し収穫は出来ますが、少しの工夫を加える事で、良い作物が出来るのなら、何とか努力して良い物を作って行きたいと思っています。
10月下旬、なめこの初物が出たら一番に小室さんに送ります。
そのなめこが届いたら小室さんから、「やっぱり寒川さんが作るなめこは本当に美味いよ!」
この粋で無邪気な大将の一言で全ての努力や苦労は報われて、まだまだもっと良い物を作ってやるぞと気合いが入るのです。