農業と人の考え方

 

少し前にお客様からのお電話で、事務員さんが電話対応で困っていたので、代わってお話しすることになりました。

 

電話を変わらせていただくと、いきなりその方は「お宅の梅は中国の梅を使っているわね」と言われました。

 

私が、「いえいえ弊社の梅はすべて自社で管理している農園と、何年も龍神梅を作っていただいている農家さんの梅しか使っていないので安心してください」と答えると「それはあなたが思っているだけでしょう。私は食べたら分かるの、これは中国の梅よ」とおっしゃられました。

 

その後そのことを丁寧に説明し薬品の味がするということに対しても「すべての梅が無農薬で食塩以外のものは全く使っていないし、分析表を送らせていただきます」と丁寧にお答えしても、「それもあなたが思っているだけでこれは中国の梅よ」の繰り返しでした。

 

そのお客様は、「あなたは経営者かもしれないけどそういった事は耳に入っていないだけで私にはわかるの」、と結局その方とは平行線のまま電話を切ることになりました。

 

他にもこれと似たような話でうちの会社のスタッフが他の梅の会社の社長さんに、「うちの会社は12%の塩分で漬け込みをして全くカビが表面にも生えないです」とお話ししたところ、「嘘や嘘やそれはあんたが知らないところで防腐剤とか薬入れてるで」、とおっしゃられたそうです。

 

その話をスタッフから聞いたときに驚いたのと同時に、ここまで人のことを信用しないというのは彼らに一体何があったのかと思いました。

 

私どもの会社も出来る限りお客様に自分たちの取り組んでいることや、そのノウハウなどを伝えたり理解していただいたりそういう努力をしているつもりなのですが、伝わらない人には全く伝わらないんだなとつくづく思ったものです。

 

農業に深く入り込み実際現場で経験をしないと、人の考えは変わらないですね。

 

 

農業には経験が必要

 

他にもうちの会社に遠方から働きたいとか、無農薬の勉強をしたいなどと言われて、アルバイトにいらっしゃる方も時々います。

 

前にも1ヶ月梅の時期に働いて、しばらくしてまた何週間か働いた方が辞めた後、何ヶ月かしてうちの取引先に、以前龍神梅で働いていたので、そのノウハウはすべてわかっている。

 

それ以上の梅干しを作るから取引してほしい、と営業に来たらしいです。

 

呆れるやら驚くやら、前にも話したようにうちのスタッフが、私が説明するようにタケノコを彫るのでも8年かかります。

 

農業でよくスタッフとも話をするのですが、毎年毎年が天候も違うし土の状態なども変わってくるので、この仕事にこれがゴールだという答えがなく、しかもここ最近の異常気象による天候なども考えると毎年毎年模索しながら農業をやっているのが現実です。

 

その積み重ねが経験となり、少しでも自分たちの理想に近づけるよう努力しています。

 

農業をする人を育てる上で経験は欠かせないのです。

 

いろいろな人が会社を訪ねてくれて、働いていただいたり見学していただいているのですが、時々こういう弊社の考え方をご理解いただけないのかなと思う方々もいらっしゃいます。

 

 

自然に感謝する農業

 

龍神村にも都会からIターンで移住して、農業をされている方がたくさんいらっしゃいます。

 

何年も続いてる方はやはり本当に田舎で暮らすのが楽しく農業が好きな方たちです。

 

私はこの村に生まれ幼いころから農業や林業に触れてきたので特に大変とか嫌だとか感じたことはありませんが、経験のない方が一から農業をやるのは本当にすごいことだなぁと感心します。

 

逆に都会から来て龍神村に住んでいる方の生き方や、ご商売の仕方を見ているとすごく勉強になることがたくさんあります。

 

田舎暮らしをずっとしている方は自然というのが当たり前で、都会から来た人たちは自然に感動し感謝する、そういった感覚が生まれた時から田舎に住んでいる方より強いのかなと感じることがあります。

 

ですから龍神をうまくアピールすることができているように感じます。

 

これから私たち、もともと田舎に住んでいる人と都会から眺めた田舎を感じている人と、うまく調和していけば田舎暮らしはもっと楽しくなると考えています。

 

 

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