無農薬梅干しの干し上がり
一つ前の干し方の話では、梅を返してネットを外すところで終わっていますが、丁寧に干し上げる為にまだまだ手間をかけて行きます。
ひっくり返した梅は、隣の梅とひっついていることがほとんどです。
これを手作業で離していき、間に隙間を作っていきます。
この時に、すでにこの時点でつぶれてしまっている梅は取り除いて行きます。(ここで取り除いたつぶれた梅は、機械で潰してペーストにして商品にします。)
こうして梅と梅の間に隙間を作ってやることによって、より満遍なく日を当てる事ができるので、梅干しも気持ちよく日光浴しながら、おいしい梅干しへとなっていってくれます。
これであとは、干し上がるのを待つだけ。
いい感じに干し上がった梅干しは、社内へと取り込まれ、タルに入れて使う時が来るまで保管しておきます。
この段階で「白干し梅」の完成です。
干す事にあたって、気持ちいい晴天が続いてくれるとうれしいのですが、雨の日もあれば、晴れていたのに急に天候が悪化してきた!なんて事ももちろんあります。
これが天日干しの大変なところです。
ですから干している時は皆が常に天気予報や空模様をチェックしています。
台風が起こりやすい時期も要注意ですね。
こうして龍神梅では8月頃から干し始めて、その年に漬込んだ梅が全て干し終わるまで干し作業を続けます。
ほとんどの場合、全て干し上げるまでには年を超えてしまいます。
そこでもおもしろい変化が見られるのです。
日差しが強い真夏の干し上がり
真夏に干した梅干しは日差しが強く、3~4日で乾きます。
乾くのですが、あまりの日差しの強さに梅干しの表面はすぐに赤ピンクに染まってよく乾き、中はほんの少しレアっぽいような感じで干し上がります。
この真夏に干し上がった梅干しは酸味を強く感じるような仕上がりです。
そして秋頃、日中の暑さは少し落ち着きだし、朝夕も涼しさを感じる気持ちいい季節に干した梅干し。
大体1週間~1週間ちょっとくらいで干し上がります。
この時期に干した梅干しは、表面もいい感じに赤ピンクに染まり、梅干しの中もいい感じに干し上がっているので、もしかすると、一番バランス良く干し上がっている梅干しなのかもしれません。
もちろん味もバッチリおいしいです!
冷え込む冬場はじっくり干し上げる
最後に冬頃、龍神村の冬は気温氷点下5度くらいまで冷え込む日もあり、その空気の冷たさが肌を刺してくる季節です。
冬場は梅干しが干し上がるまで大体半月から天候により1ヶ月なんて事もあります。
この頃の梅干しは日を当てて乾かすというよりは、空気も乾燥しているので、日も当たっているけれども、空気が乾燥しているから梅が乾いてくるといった感じでしょうか。
日差しがそこまで強くないので、梅干しの表面の色の染まり具合は弱く、そこまで赤ピンクには染まってきにくいのですが、梅自体は乾燥してゆっくり梅干しになっていく感じです。
梅が非常にゆっくり、じっくり乾いてくるので干し上がった梅干しを食べてみると、冬に干した梅干しは少し酸味がマイルドになったように感じます。
このように干す季節が違うだけでも梅干し達は、私達にいろんな違う顔を見せてくれるので、驚きもあり、発見もあり楽しいものですね。