しその植え替え作業
さて、病害虫や小鳥などからの被害と戦い耐え抜き、大変な作業とこまめな管理の末育てたしそを苗床から広い畑に植え替えるという作業について説明していきたいと思います。
ここからが苗から大きなしそになるための大切な作業ですね。
まず、苗床の8~10倍ぐらいの畑に畝を作っていって、その出来上がった畝に黒マルチシートという光を通さないポリエチレンフィルムを被せるという作業をします。
黒マルチシートを被せる作業にピンときている方もいると思いますが、これは雑草を少しでも抑えるためなのです。
この工程をするのと、しないのでは今後の除草作業としそ収穫作業の手間に大きく影響するからです。
そして、マルチシートの穴あけに使用されるポンポンカッターという道具でしそを植える所だけ穴を開けていきます。
その穴のサイズは直径8cmです。
次に穴あけの間隔ですが、畝幅が90cmに株間30cm位で穴を開けていきます。
これは毎年試行錯誤しながら株間を広げたり、狭めたりなど試してきた結果、今の間隔が一番しそのぶつかり合いがなく良く育つのでこの間隔でやっています。
植え替えに最適なしそについてですが、まず、植え替えをするしそというのはだいたい4~5日ぐらいで植え替え先の畑で根がつきます。
根がつくまでの間は、根がしっかりついていないことで茎が葉の重さに耐えられなく、おじぎをしているような形になってしまいます。
あまりにも背丈が大きくなりすぎたしそは、その時の状態にもよるのですが、マルチシートにしその葉がひっついてしまうぐらいおじぎしてしまいます。
そうなってしまうと根がつくまでの間に1日でも「暑いな」と言ってしまう晴れの日があればマルチシートの温度で枯れてしまうのです。
逆に小さすぎるとヨトウムシにやられてしまいやすいので、15cm~20cm位の背丈のしそから植え替え用に抜くようにしています。
植え替えのタイミング
植え替え作業は出来る限り曇りや雨の日に行ない、4~5人が10日前後で一気に植え替えをするという大掛かりな作業になります。
なぜ、曇りや雨の日を選んで行なうかといいますと、植え替えの為に抜いたしそというのは抜いた瞬間から根が切れて、しそにとって大切な栄養と水分を一時的にストップしてしまい弱っていくので、それを少しでも元気な状態で移植先の畑に植え替えをするためです。
そもそも一般的にはこういった手間のかかることはせず、あらかじめ殺虫剤と除草剤をまいておいた畑に種を直接撒いて育てるのです。
それだけ植え替えは大変な作業なのです。
これらの準備を乗り越え、ここからが、いよいよ植え替え作業です。
用意する道具は移植ゴテ(手持ちサイズのスコップ)、バケツのふたつです。
バケツに二割ぐらいの水を溜めておき、苗床のしそを選抜して移植ゴテで出来る限り根を残すように下からすくって抜いていきます。
植え替え作業の最重要ポイントは!?
この抜き方でどれだけ根を残せるかで植え替え後の根のつくスピードと今後の成長に大きく係わってくるのです。
このときに根をあまり残せなかったしそは、植え替えたあとの畑で根がつかず枯れていってしまうこともあるのです。
まず、根を丁寧に抜く作業ですが両手を使っていきます。
持ちやすい手に移植ゴテを持ち、もう片方の手で抜きたいしその茎を軽く持ちます。
この時に、あまり強く握り過ぎると茎が手の圧力で煮えてしまい弱ってしまいます。
あくまでも優しくっていう気持ちですね。
次に、移植ゴテで根より深く入れて土ごと持ち上げます。
持ちあげた状態で軽く上下に揺すってあげると、きれいに土だけ下に落ち、根を殆ど切らずに抜けるのです。
その後も抜いたしそをバケツの中の水に根を浸して、畑に植えるまではしそが弱らないようにしています。
本当に大切なしそですからね。
バケツがしそでいっぱいになったところで植え替え先の畑に持って行き、ポンポンカッターでマルチシートに空けた穴の所を移植ゴテで10cmぐらいの深さまで堀り、しそを3~4本ずつ植えて最後に土を戻し、手でギュッとしめて倒れないようにします。
このときに元気に育って欲しいという気持ちを込めるとさらに良いかもしれないですね。
3~4本を植える理由としては、本数が多すぎると苗床同様に大きく生育しなくなり、少なすぎるとあまり収量が採れないからです。
毎年の試行錯誤の上、栽培している中では3~4本が一番いいのです。
この植え替え作業自体がずっと膝をついたままの姿勢なので、1日の作業が終わると膝がガクガクするぐらい本当に大変な作業なのです。
(この記事は2017年6月に執筆掲載した記事です)