梅肉エキスの作り方
龍神梅の梅肉エキスの製造方法を詳しくお伝えしていきたいと思います。
まず初めに製造時期ですが、龍神梅では収穫シーズンの間に、収穫したての梅を使っていっきに年間のエキスを製造しております。
その他に梅を冷凍保存しておいて製造したいときに製造する、という方法がありますが、弊社にはそのような高級保存設備はないのでシーズン中に製造するしかありません(笑)。
それでは順番に説明していきましょう。
まずは洗浄です。収穫して計量を終えた青梅には砂埃や葉っぱが付いているのでこれを洗い落します。
適当なサイズの桶に水を溜めて、コンテナの梅を溢れないよう数杯入れてかき混ぜます。
結構な力が必要ですが、両手で洗濯機のグルグルをやる様なイメージです。
洗った梅はコンテナですくい上げ、次の人(機械へ梅を入れる人)へと渡していきます。
梅肉エキス作りに欠かせない機械
この機械は単純な仕組みで、高速で回転する太い軸に無数の薄い四角の板(刃物ではありません)のような物が付いていて、この板で梅の実を叩き割っていき、細かく割れた梅の実は機械の底のメッシュの穴から下に落ちてきて受け釜に溜まり、種はメッシュの穴を通らず最後の種の掃出し口から出てくるという感じの機械です。
これにどんどん梅を入れて行きます。
一度機械に通しただけだと、少し欠けたくらいの実がそのまま掃出し口から出てきて勿体ないので、何度か機械に通して、無駄の無いように実を取っていきます。
注意しなければならないのが、この機械に入れる梅はカチカチの青梅じゃないと、スムーズに実と種に分かれにくくなり、うまくいかない原因になってしまいます。
どういうことかと言うと、完熟気味の柔らかい梅を機械に入れると、実を「叩き割る」という感じではなく、「ベチャっと潰す」感じになってしまい、思うように実と種を分ける事ができず、作業が難しくなってしまいます。
梅干しもそうですが、龍神梅が原料にする梅は若い青梅に限るということですね。
機械で選別された梅の果肉をしぼりだし、エキスにしていきます。
果肉を丈夫で厚みのある綿の袋に詰め入れて、木枠の舟に入れて並べて重ねていきます。
舟が袋で満タンになったら、その上にある程度の厚みと重量のある木を載せて、プレスジャッキで木を押して加圧していきます。
ジャッキはゆっくりと圧力を掛けていき、25~30t(トン)加圧し、絞られた黄緑色の果汁は、舟から流れ出てタンクへと溜まっていきます。
タンクに溜まった果汁はポンプで吸い上げて平釜へと移します。
梅肉のエキスを煮詰めていきます
煮始める前のエキスは黄緑色のサラサラの液体です。
これをバーナーで平釜の底全体に火が届くように調整しながら加熱していくと、グツグツと沸いてきて、灰汁が出てきます。
この灰汁をひたすら取り続け、全体を混ぜながら煮詰まるのを待つだけです。
作業的にはただ「灰汁を取りながら、混ぜながら待つ」だけですが、一つの平釜が煮詰まって完成するまでに、なんと約15時間!もかかるんですね。
この長い時間、バーナーの火力の熱気と湯気の熱気に耐えながら、丁寧に仕上げていくのです。
煮詰まってくると、色が黄緑→薄茶色→茶色→焦げ茶色→黒→真っ黒と変わってきます。
完成間近の梅肉エキスは黒い溶岩の様です。
この流れでサラサラだった梅果汁が凝縮されて、ドロドロの梅肉エキスとなっていくのです。
どれくらい凝縮されたかと言いますと、梅肉エキスの効果効能ページにも記載がありますが、1000㎏(1t)の青梅から絞った果汁が、20㎏~40㎏まで凝縮します。
1000㎏が20~40㎏になるってすごいなぁと、いつも感じます。
もちろんですが、「その日炊いたエキスは、その日のエキス」なので、作り方が同じでもまったく同じ物なんてできません。
だって、自然の物をただ煮詰めるだけなのですからね。