老いも若きも7号|南北相法とは
私の南北相法極意をしょうかいします。
南北先生の言わんとするところは、一にも二にも大食はするなということであります。
分限より多く食するということは、天に食物の借りが出来るということであり、借りあって立身出世はおぼつかなく生涯身を粉にして働き盡すことになるでしょう。
又、衣食を充分にまとい、なしたき事を充分になして立身出世は望めない。望むこと事態が愚かなことだと悟るべきであります。
なしたき事とは、美味贅食をむさぼり食らうことや、遊びたいときに遊びたいだけ遊ぶとかいった意味なのでしょう。
身にまとう物も必要以上に身を飾る必要がなく、流行のものもいいでしょうが、流行を追うだけになってしまってはいけないということなのでしょう。
一口に言えば精神的な分にウエイトをおいて生活せよということでしょうか。
食あたりの特効薬 梅肉エキス
固い青梅をすりおろし布袋に入れて汁をしぼります。
この汁を土鍋、ホーロー、ステンレス製の鍋に入れ、弱火で煮詰めていきます。
だんだん茶褐色になり、やがて液にねばりが出て色も黒っぽくなり泡が立つようになりますから、これを陶器かガラス瓶に移します。
梅肉エキスは、むかしから食あたり、消化器の伝染病の特効薬として、民間に伝承されてきたもので、チフス菌、赤痢菌、大腸菌などは、実験的に死滅させることが出来ます。
また梅の実に含まれるクエン酸、ピクリン酸は疲れをとり体に抵抗力をつけてくれます。一日に耳かき一杯くらいを常食し、緊急のときは小さじ一杯ほども飲みます。 (長寿の秘訣より)
百姓あれこれ
春の彼岸頃しそをまきます。いつも上手に生え揃うのですが、いつの頃からでしょうか二、三日油断して畑を見に行かないと、畑の1/3にも半分にも及ぶ面積のしそがなくなっているのです。
なめたように消え失せているのです。驚きました。
いろいろと観察した結果、黄色がかった黒い小さな幼虫が集団でしその汁をすっているのでした。体が小さいわりには被害が甚大でなかなか手ごわいのです。
焼酎ににんにくのしぼり汁を混ぜて、にわかに作った薬を虫にかけてやりますと、一時間もするとコロンとみんなしそから落ちて地面に転がっていますので「これはあたりー!」と手をたたいて大喜び。
夕方遅くまでじょうろで畑にやりました。
焼酎は一斗程も使用したでしょうか。翌朝しそ畑へ行ってみましたら、昨日の倍ほども肥った虫がしそに群がっています。「ナーンだ。ゆうべは酔っぱらっていただけか」とがっかりしました。
一斗の焼酎と2kgのにんにくは虫を肥やしただけに終わりました。
あせび(馬酔木)は虫にきくと昔から言うといって、夫が山へ採りに行ってくれました。
あせびを煎じて、その煎じ液をじょうろでしそにかけるのです。
大釜にあせびを一杯切って入れ、一時間くらい煎じます。
何石もこしらえました。これは効きました。
じょうろでかけた後、ぬかであせび団子をこしらえてしその間に置きました。
あせびのお陰でこの年はやっとしそを助けることが出来ました。
平成8年8月発行
寒川 殖夫・賀代