老いも若きも6号|龍神村と辰巳芳子先生

老いも若きも6号|龍神村と辰巳芳子先生

去る8月2日、3日と料理研究家で高名な辰巳芳子先生が取材班4人と共にお越しになりました。

 

NHKのきょうの料理やほかのテレビ出演雑誌の対談などで、みなさまおなじみでしょう。

 

目的は「あした天気になあれ」会の発行しているニュースレターの取材であります。

 

龍神梅の製品は無農薬・有機栽培で徹底していますが、コツコツと地道に基づいてきたことが先生の目にとまり、先般出版され好評の「辰巳芳子が薦めるぜひ取り寄せたい確かな味」に載せて頂きました。

 

”あした天気になあれ”会の造り手の部会にも入れて頂いております。

 

下を向いて働くことは得意でも、売り込み、宣伝ということになりますと全くの素人で、不得手なことでありますが、お陰様で良い御縁を得ましたことを感謝いたしております。

 

振り返ってみましたら18年前、郡司篤孝先生と奥様がよこはま土を守る会の唐沢とし子さん、食生活研究会の浅井まり子さんをご紹介くださったことが梅干づくりの始まりでありました。

 

初めは私が近所のおばさん2,3人に手伝ってもらって始めた小さな輪でありました。

 

自家栽培している無農薬・無化肥の梅を漬けて造った梅干が販売できるだけで満足だったのです。

 

規模を大きくしようと思ったことは一度もありませんでした。

 

けれどもある商社に「これは良い梅干しだ。10トンでも買うから造ってほしい」と頼まれ、そうすると龍神村でねむっている無農薬・自然栽培の梅が生きてきて、生産農家に喜んでもらえるなあとうれしくてみんなに話して梅を集めて漬けたのが運の尽き、少しずつ樽の数がふえ、ザラを増やしていったのですが、すべて順調にいったわけではありませんでした。

 

梅干にカビが生えたり、働く力の配分が上手く出来なくて過労になったりして大変なことを始めたものだ、もうやめたいと思ったときには、行きも戻りもできないがんじがらめの状態になっておりました。

 

始め内職程度に気楽にやっておりました時はよかったのですが、私が過労で倒れたことも原因となって夫が手伝ってくれるようになりました。

 

やってみれば百姓の片手間で出来るようなことではなく、本腰を入れないと消費者と生産農家の期待がありましたし、投資もすでに小遣いの域を脱しており我家としては相当の有り金を投入しておりました。

 

本業を放り出して手伝ってくれ始めた夫には感謝しつつも、男と女の感覚の相違から意見の対立も度々でした。

 

あの当時を思い返してみますと、山も田も畑も草ぼうぼうの状態で生業に勤しんでいた夫には申し訳ないことでした。

 

 

辰巳先生との御縁

 

群馬に藤井正雄さんという方が自然養鶏をされていまして、そこに当センターの梅酢をお送りしております。

 

梅酢はにわとりの健康のためにお使いの様ですが、ある時藤井さんから辰巳先生がお宅の梅酢をお料理に使ってみたいと言っておられると連絡があり、送らせて頂いたのが御縁のはじまりでした。

 

その後私共の梅干を味見して下さって龍神梅のもつ良さ、製品の陰に隠れている作り手の思いをすべて敏感に感じとって下さったのには、脱帽という以外言葉もありません。

 

辰巳先生のあの感覚の鋭さは一体全体どこから来るのだろうかと思います。

 

時には「あなた、貴女の梅ジュースおいしいわ。甘さがひかえてあってね、私のよりもいいじゃないの」と料理研究家としてこんなことを言っていいのかしら?とドキリとするようなことをおっしゃいます。

 

本当に偉い人は違うなあ、おそろしい程謙虚だなあと私は辰巳芳子という人物に魅せられております。

 

どんなに高名でもどんなに地位が高くても、あくまでも本物を追及するその姿勢に接し、私のような人間には学ぶところが多いなあと思います。

 

そうしてこの御縁を大切にして辰巳先生がほめて下さったのだから先生のお顔を汚さないようにますます良い製品をこしらえていかねばと決意を新たにしています。

 

平成8年8月発行

 

寒川 殖夫・賀代

 

 

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